離婚をしたとき、車の名義変更はどのように行えばいいのでしょうか?
離婚が決まった人は財産分与について考えなければなりません。そのなかで厄介なのが「車」の財産分与です。
車を処分する方法はいくつかありますが、ここでは名義変更の手続きを中心に紹介します。
そもそも、離婚したら名前を変えないといけないの?
離婚をすることによって、基本的には名前(名字)が婚姻前に戻ることになります。
それに合わせて、名義変更の手続を行いましょう。
とはいえ、中には離婚しても現在の名字のままでいたいという方もいらっしゃるでしょう。
その場合には離婚の日から3ヶ月以内に手続きをすることで、結婚していたときの名字を名乗ることも可能です(婚氏続称制度)。
もし名字を変えないのであれば、当然ながら名義変更をする必要はありません。
和解で慰謝料として車をもらうことは可能
ちなみに、離婚後は夫名義だった車を妻の名義に変えるケースがほとんどです。
これは慰謝料などを車によって支払うといったことがあるためです。夫名義の車を売って、その売却代金を慰謝料に充てるということですね。
慰謝料を現金で払う、あるいはそれと合わせて車を妻名義にして慰謝料として使うわけです。
もちろん、妻の不貞などにより離婚が成立した場合は、妻が夫に慰謝料を支払うというケースも考えられます。
注意したいのは、車そのものを慰謝料としてもらうことができるのは、あくまでも話し合いによる和解が成立したときだけです。
話し合いがこじれて訴訟に発展した場合、最終的な賠償は金銭で行われるものと決まっているからです。
あくまでも予備知識にはなりますが、慰謝料として車を請求しよう(もらおう)と考えている人は覚えておきましょう。
離婚による車の名義変更方法には3パターンある
車を名義変更するためには、管轄の運輸局にて手続きを行う必要があります。
その手続を行う方法は以下の3つです。
- ① 代行業者に依頼する
- ② 自分で運輸局に行って手続きする
- ③ 弁護士等に依頼する
① 代行業者に名義変更手続きをやってもらう
まず、車を買ったお店、あるいは近くの販売店に名義変更手続きだけを代行してもらう方法があります。
また、行政書士事務所に頼むことも可能です。
ふだんから付き合いがあったり、近くて便利なお店があれば依頼してみましょう。
陸運局や免許センターの近くには行政書士事務所が多い場合もあるので、そこに依頼するのもいいかもしれません。
ただし、離婚という事実を知られることになりますから、気まずいところではあります。
また代行費用も発生しますので、注意しましょう。代行費用は代行内容によって異なります。
たとえば、車の名義変更を代わりにやってくれる「けやきワンストップサービス」だと、以下のようにプランによって代行費用が違います。
- 【ゴールドコース】38,000円(税別)
- ・車の所有者が変わる
- ・車のナンバーが変わる
- ・車庫証明の取得も依頼する
- 【エコノミーコース】15,000円(税別)
- ・車の所有者が変わる
- ・車のナンバーは変わらない
- ・車庫証明を自分で取得する
ざっくりいうと、車のナンバーと車庫証明の取り扱いによって料金は変わるということです。
代行業者(おもに行政書士)に頼むと費用はかかりますが、時間と手間をカットできるメリットがあります。
② 陸運局に自分で持ち込んで名義変更する方法
車の名義変更をするのは、基本的に陸運局です。仮に代行業者に頼んでも、結果的に手続きをする場所は陸運局となります。
必要な書類を自分で用意する必要があり、やや面倒ではあります。しかし、手続き自体は1時間程度で完了するので、準備さえ整ってしまえば意外と早く終わります。
自分で手続きをする時間的な余裕がある人は、費用を浮かす意味でもトライしてみると良いかもしれません。
陸運局に行って自分で手続をする流れは以下のとおりです。用紙や印紙はすべて陸運局の受付で入手できます。
- ① 陸運局で用紙をもらい、必要事項を記入
- ② 印紙の購入(登録手数料の支払い)
- ③ 陸運局の窓口に用紙を提出
- ④ 窓口で新しい車検証が交付される
- ⑤ 自動車税等の確認および申告
- ⑥ 旧ナンバーの返却および新ナンバーの交付(ナンバーを変更する場合)
これらの手続きはすべて陸運局で行います。だいたい1時間程度で終わりますが、不備があると書き直しなどが発生することもあるので、時間に余裕を持っておきましょう。
③ 離婚調停の弁護士に依頼する方法もある
離婚について弁護士に相談している、あるいは離婚調停をおこなっている場合は名義変更の手続を弁護士に依頼することもできます。
その分だけ費用が発生するので、費用負担を避けたい場合には、やはり自分で手続きを行うのがベストです。
離婚による名義変更には上記3つの方法がありますが、自分で手続をとる以外の方法は費用が発生するので注意しましょう。
自分で名義変更をするときに必要な書類
ここでは、所有者と使用者が同じ名義の場合について、自分で名義変更の手続きをとる方法を解説します。
所有者と使用者がちがう(車をローンで買っている場合など)は名義変更の方法が異なります。
自分で名義変更をおこなうときに必要な書類とは?
名義変更には必要な書類が6つあります。
- ・新旧所有者の印鑑証明書
- ・車検証
- ・手数料納付書
- ・自動車税、自動車税取得申告書
- ・移転登録申請書
- ・委任状
印鑑証明書と新所有者の実印は必須
印鑑証明書は夫と妻、それぞれのものが必要です。
印鑑証明書は譲渡証明書に押された夫(あるいは妻)の印鑑が正式なものか証明するために必要です。
また、新所有者の実印は、申請書などでも必要になりますので、印鑑証明書とセットで用意しておきましょう。
印鑑証明書は役所で実印登録をしておく必要があります。
また、マイナンバーカードがあれば、コンビニでも印鑑証明書を発行できます(ただし、自治体による)。
https://bgiedu.org/divorce-car/
車検証や自動車税の証明書はどこにある?
きちんと車検を受けている車でないと、名義変更はできません。
また、自動車税も納めていないと名義変更は不可です。
ふだん目にする機会が少ない車検証や自動車税の納付書ですが、夫が所有している車だと妻は知らない可能性が高いかもしれません。
まず車検証については、車のダッシュボード(助手席前の収納スペース)にしまってあることがほとんどです。
また、自動車税の納税証明書も一緒に保管していることが多いと思います。
紛失した場合には、都道府県の税事務所などで再発行も可能なので問い合わせてみるといいでしょう。
https://bgiedu.org/lost-tax-payment-certification/
手数料納付書は陸運局にある
手数料納付書は、名義変更のときに払う手数料の手続きで使います。
自分ですべて手続きをする場合は、陸運局に用紙がありますから準備は不要です。
移転登録申請書がまさに名義変更のメイン書類
移転登録申請書と聞くとちょっとむずかしそうですが、ようするにこれが名義変更に必要な書類のメインとなります。
用紙は陸運局に用意されていますし、書き方も見本があるので心配いりません。
委任状は別々に手続きするときに必要
委任状とは「○○から手続きを依頼されました」ことを証明するものです。
つまり、夫婦2人で名義変更の手続きをするのであれば不要です。
実際、離婚をする夫婦が仲良く名義変更の手続をするケースは稀かと思いますので、委任状は用意したほうがいいでしょう。
これら書類のうち、所有者本人が名義変更の申請をする場合は委任状は不要です。
つまり、所有者である夫が自分で名義変更手続きをする場合、委任状はいりません。
気をつけたいのは離婚によって名字や住所が変わっているケースです。車の名義を変えるまえに、必要書類の変更手続きをしておく必要があります。
要注意!譲渡証明書が必要なるケースもある
基本的には上記の書類があれば問題ないですが、夫婦間で名義変更する場合には「譲渡証明書」が必要になるケースがあります。
そのケースとは、
- ・対象となる車が普通自動車である
- ・すでにローンの支払が終わっている
- ・名義が夫 → 妻に変更となる(逆でも同様)
以上の3つにあてはまる場合です。
譲渡証明書とは、「わたしは○○さんに車を譲りますよ」ということを証明するための書類です。たとえば「夫が妻に車を譲渡します」という書類ですね。
譲渡証明書は、正式な書類があるわけではなく、インターネット上からダウンロードできる書式(フォーマット)でOKです。
ちなみに、譲渡証明書は旧所有者が書く必要があります。夫が妻に車を譲渡するのであれば、夫が書くということです。
離婚後だと頼みづらい場合もあるでしょうから、なるべく早い段階で書いてもらったほうがいいでしょう。
子どもの養育費の問題。車の名義は夫と妻のどちらにあるか?
車の名義変更を考えている方の中には、離婚をするにあたって、子どもの養育費の問題を抱えている方もいらっしゃいます。
離婚によって世帯収入が減ることになりますので、仮に子育てでお金がかかる場合には車を売って資金を捻出するケースが出てくるかもしれません。
「弁護士ドットコム」に掲載されている、こんなケースを紹介したいと思います。
離婚を決めた妻が別居中の主人から「車を売るので名義変更をする。書類を送って欲しい」と言ってきました。
これは要するに、妻名義の車を夫名義に変更しようという考えです。
子どもは夫と生活しているため、養育費に充当する分として夫に車の所有を移そうというケースです。
一見、合理的なやり方に見えます。しかし、ここで簡単に受け入れてしまうのはよくありません。
このケースでは、妻から夫に名義人を移しても、夫は車を本当に売却するかはわかりません。
結婚前から妻が所有していた車であれば尚更です。
まずは離婚するにあたって、財産分与をどうするのかをきちんと話しあいましょう。
場合によっては弁護士に相談するのも1つの方法です。
また、財産分与や離婚費用のために車を現金化する場合には、買取業者に査定を依頼することをオススメします。
夫婦によっては、車を夫から妻へ譲渡するケースも少なくありません。
車が不要(現金化したい)ということであれば、インターネットの一括査定が便利です。
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