マニュアル車のトランスミッションにはクラッチが備わっていますが、クラッチには寿命があるため、いつかは交換しなければなりません。
ここでは、クラッチ交換にいくらかかるのか、費用の目安について解説します。
マニュアル車のクラッチ交換費用は、国産車で5万円~20万円が目安
まず、クラッチ交換をするにはそれなりの知識と設備が必要です。
そのため、一般の人は自分で交換しようなどとは考えずに、プロに任せてしまった方がよいでしょう。
具体的には、車を購入したディーラーや中古車販売店(専用の整備工場を持っている大手販売店の場合)、町の自動車整備工場などで対応してくれます。
クラッチ交換の費用相場は以下のとおりです。
- ・軽自動車で5万~8万円
- ・国産の登録車で5万~20万円
- ・輸入車で15万円~
費用の幅が大きいのは車種によって大きく異なるからです。
たとえばクラッチ交換をエンジンを降ろさずにできる車種とエンジンを降ろさないとできない車種では、倍近く違うことがあります。
また、FF車や4WD車はFR車よりもクラッチ交換費用が高めになりますし、輸入車の場合は同クラスの国産車の倍くらいかかると考えてよいでしょう。
マニュアル車のクラッチの役割は、動力の遮断と接続
クラッチの交換前に、あらかじめクラッチの役割や構造について知っておくべきです。
そうすることで、不要な費用をカットできますし、交換費用を安くすることにもつながります。
クラッチが動力の遮断と接続をおこなう
車は、エンジンの動力(回転)をトランスミッションに伝え、さらにその動力をタイヤに伝えて走行します。
しかし、マニュアル車の場合、ギアを切り替えるときに動力が伝わったままではギアがスムーズにかみ合わないので、いったん動力を切り離す必要があります。
また、ギアの切り替え操作が完了し、切り離されている動力を伝える際には、部品が損傷するのを防ぐために少しずつ伝えなければなりません。
そこで必要になる機構が、クラッチです。
クラッチは日本語で「断続器」と訳されることもありますが、文字通り、動力を遮断したり接続したりする働きをします。
クラッチの操作は、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)やAMT(オートメイティッド・マニュアル・トランスミッション)の場合は車が自動的に行ってくれます。
一方、MT(マニュアル・トランスミッション)の場合はドライバー自身が行う必要があります。
クラッチの構造
クラッチの構造は、現在のほとんどのマニュアル車が円盤状のディスククラッチを用いた摩擦クラッチを採用しています。
また、摩擦クラッチには摩擦面が潤滑油で潤滑された湿式と潤滑されない乾式がありますが、車に採用されているのは乾式が主流です。
次にクラッチを構成する部品ですが、エンジンに近い順から「クラッチカバー」、「プレッシャープレート」、「クラッチディスク(ディスククラッチ)」、「クラッチシャフト」となります。

画像:exedy.com

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マニュアル車のクラッチ交換の時期は、通常5万~10万キロが目安
マニュアル車のクラッチ交換の時期は、車の取扱説明書に目安が書いてあるわけではありません。車種やドライバーの運転操作のしかたによって決まります。
そのため、交換のタイミングは車によってちがいますし、個人の感じ方によっても異なります。
一般的に、車両重量の重い車はクラッチにかかる負担も大きくなるので、軽い車よりも交換時期が早くおとずれる傾向があるようです。
半クラッチの多用や雑な運転が劣化を早める
また、発進のときに半クラッチを多用したり、ギアチェンジのときにクラッチを乱暴につないだりする運転操作を日常的に行っていると、クラッチの劣化が早まってしまいます。
そのほか、シフトダウンするときにエンジンの回転を合わせずに、半クラッチだけで済ませるような運転操作も、クラッチの劣化を早める要因のひとつです。
道路環境によっても劣化スピードは変わる
さらに、住んでいる場所が日常的に渋滞が発生する都市部で、ストップ&ゴーの連続を強いられるようなケースも、クラッチを多用するため交換時期が早まってしまいます。
具体的な交換時期は、一般的には5万~10万キロが目安になりますが、4万キロに満たないうちに交換を要するケースもあるようです。
一方で、渋滞の少ない地域で車両重量の軽い軽自動車やコンパクトカーを使用し、なおかつ適切なクラッチ操作を心がけていれば、15万~20万キロくらい交換不要なこともあります。
クラッチの滑りを感じたら要交換
では、車種や扱い方によってまちまちであるクラッチ交換の時期を見きわめるには、どうすればよいのでしょうか?
それは、クラッチの滑りを感じるようになったときです。クラッチの滑りによって生じる具体的な症状は、次のものがあげられます。
- ・クラッチペダルを踏み込んだときの遊びが大きい
- ・クラッチペダルを踏んでもギアがつながったままになる
- ・変速のときにギアが入りにくい
- ・エンジンの回転が不必要に上がる
これらの症状が出るようになったら、クラッチ交換の時期だと思ってください。
もしそのまま放置しておくと、クラッチが焼き付いて走行不能になってしまう可能性があります。
万が一、高速道路や踏切などでいきなり車が動かなくなってしまったら危険なので、クラッチの滑りを感じたら速やかに修理しましょう。
適切な扱いでクラッチの寿命を長くしよう
クラッチ交換の費用は、車検費用と同じくらいかそれ以上にかかってしまうので、なるべく交換時期を先延ばしにしたいものです。
そのためには、以下の心がけが大切です。
- ・日ごろから半クラッチの使用を最小限にとどめる
- ・乱暴なクラッチ操作は行わない
- ・シフトダウン時はエンジンの回転合わせをする
それでも、いつかはクラッチ交換の時期が訪れてしまいますが、その時は車もかなり古くなっているはずなので、買い替えを検討するのもいいでしょう。
クラッチが古くても査定額には大きく影響しない
クラッチを交換するよりも、売却(買い替え)のほうが結果的にお得になるケースもたくさんあります。
というのも、クラッチが劣化していたからといって、車の売却価格は大きく変わらないからです(車屋は自分たちでクラッチを安く交換できるため)。
そのため、クラッチの交換に5万円~20万円も費用をかけるよりは、売ってしまったほうが安上がりなのです。
とはいえ、年式の古い車の買取査定額は一般的には厳しいものがあり、ゼロ査定になってしまうことも少なくありません。
しかし、車の買取額はお店によって差が大きいため、高く買い取ってくれるお店も確実に存在します。
あなたの車を高く買い取ってくれるお店を見つける、手っ取り早い方法が車の無料一括査定です。
車の一括査定は、自宅にいながら愛車を一番高く買い取ってくれる買取店が分かります。
クラッチの交換前に、愛車の査定額を知っておくことをオススメします。なぜなら、クラッチを交換して乗り続けるべきか、売ってしまうべきかハッキリと結論が出るからです。