トヨタのクロスカントリー型SUV「FJクルーザー」は、レトロモダンなスタイリングが魅力です。
今回は、月々の維持費や短所などFJクルーザーを購入する際に注意したい点のほか、長所についても徹底的に検証してみました。
FJクルーザーの月々の維持費は、結構高い!
まず、FJクルーザーの維持費は月々いくらかかるのかを、検証してみましょう。
FJクルーザーのガソリン代は?
まず、月々の維持費の中でも大きな割合を占めるガソリン代を検証します。
FJクルーザーのJC08モード燃費は8.0km/Lですが、当サイトの調査によると実燃費は7.2km/Lです。
FJクルーザーに使用するレギュラーガソリンの価格を140円/L、年間の走行距離を1万kmと仮定すると、年間のガソリン代は以下のとおりになります。
10,000万キロ ÷ 7.2 × 140 = 194,444円(1年間)
月々のガソリン代はこの12分の1なので、
194,444円 ÷ 12 = 16,204円(1ヶ月)
となります。
FJクルーザーは、最近の車としては燃費が悪いため、ガソリン代がかなりかさんでしまうことが分かります。
FJクルーザーの自動車税額は?
乗用車の自動車税(年額) | 2019年9月30日以前の新車登録 | 2019年10月1日以降の新車登録 |
---|---|---|
1リットル以下 | 29,500円 | 25,000円 |
1リットル超 1.5リットル以下 | 34,500円 | 30,500円 |
1.5リットル超 2リットル以下 | 39,500円 | 36,000円 |
2リットル超 2.5リットル以下 | 45,000円 | 43,500円 |
2.5リットル超 3リットル以下 | 51,000円 | 50,000円 |
3リットル超 3.5リットル以下 | 58,000円 | 57,000円 |
3.5リットル超 4リットル以下 | 66,500円 | 65,500円 |
4リットル超 4.5リットル以下 | 76,500円 | 75,500円 |
4.5リットル超 6リットル以下 | 88,000円 | 87,000円 |
6リットル超 | 111,000円 | 111,000円 |
毎年4月1日に請求がくる自動車税の金額は、自家用乗用車の場合、排気量によって10の区分に分けられています。
FJクルーザーの排気量は3,955ccなので、「総排気量3.5L超4L以下」の区分に入ります。その税額は、4番目に高い66,500円です。
エコカー減税の対象になっていれば減額されるのですが、燃費が悪くCO2排出量も多いFJクルーザーは、残念ながら対象になっていません。
この税額を月額に換算すると、
66,500円 ÷ 12 = 5,542円
になります。
軽自動車に課せられる軽自動車税が年間10,800円であることを考えると、かなり高額に感じられます。
FJクルーザーの自動車重量税額は?
新車購入時や車検の際に課せられる自動車重量税は、自家用乗用車の場合、車両重量によって6つの区分に分けられています。
FJクルーザーの車両重量は1,940kgなので、「車両重量1.5トン超2トン以下」の区分になります。
FJクルーザーの重量税額は、自動車税と同じように「エコカー減税適用なし」となるため、3年分で49,200円が課せられてしまいます。
これを月額に換算すると、
49,200円 ÷ 36 = 1,367円
となります。
FJクルーザーの自賠責保険料額は?
FJクルーザーは「自家用乗用自動車」なので、自賠責保険料は37か月で36,780円です。
これを1ヶ月あたりの金額に換算すると、
36,780円 ÷ 37 = 994円
となります。
FJクルーザーのオイル交換費用は?
車の消耗品の中で、もっとも交換の頻度が高いのはオイルでしょう。
FJクルーザーのようなガソリン車の場合、オイル交換は1年または走行距離1万5,000km毎に行うことが推奨されています。
FJクルーザーのオイル交換費用は6,000円ほどなので、これを月額に換算すると、
6,000円 ÷ 12 = 500円
となります。
FJクルーザーの月々の維持費の総額は?
これまでの検証結果から、FJクルーザーの月々の維持費の総額を計算してみましょう。
- ガソリン代 16,204円
- 自動車税額 5,542円
- 自動車重量税額 1,367円
- 自賠責保険料額 994円
- オイル交換費用 500円
- 24,607円
月々24,607円という金額は、かなり負担の大きい金額です。
FJクルーザーの車両価格は300万円代なので、それほど高額ではありません。それなりに収入のある人なら、たいていの場合はローンを組めば購入できるでしょう。
しかし、月々のローンの支払い額に加え、月々24,607円という維持費がかかるわけですから、購入には慎重になります。
FJクルーザーの短所は、取り回しの悪さや内装・装備の貧弱さなど
続いて、FJクルーザーの短所を、維持費以外の面から検証してみましょう。
取り回しが悪い
FJクルーザーは、もともとが北米市場向けに開発されたモデルなので全幅が広く、1.9mほどもあります。
また、最小回転半径が6.2mもあり、小回りが効きません。
そのため、狭い路地に入ってしまった場合や、狭い駐車場に止めるときなどは、かなり苦労するはずです。
視界が良くない
FJクルーザーはスタイリング重視の設計なので、すべての窓の面積が小さく、リアクォーターピラーも太くなっています。そのため、視界は決して良いとはいません。
前方の視界に関しても、フロントウィンドウの天地の高さが狭いため、交差点に先頭で止まった際に信号が見えにくい欠点があります。
また、後方視界やななめ後方視界も悪いので、バックする際は人や障害物に接触しないよう細心の注意が必要になります。
後席に乗り降りしづらい
FJクルーザーのドアは、今日ではめずらしい観音開き式になっています。
後席に乗りこむ場合は、最初にフロントドアを開けたあとでリアドアを開ける必用があるので、面倒です。
また、降りる際は最初に誰かにフロントドアを開けてもらわないと、リアドアを開けることができません。
さらに、SUVゆえにフロアが高いので、乗り込む際も「ヨッコイショ」という感じになります。
内装が安っぽい
最近のSUVは、高級セダン顔負けの豪華な内装をもつモデルが多くなっています。
しかし、FJクルーザーの場合はインパネやドアトリムなどがプラスチックの質感まる出しで、気の利いた加飾が施されているわけでもありません。
また、シート表皮も素っ気ないファブリックなので、高級感のかけらもありません。
FJクルーザーに比べれば、軽自動車の上級グレードの内装の方がよほど高級感があります。
ただし、FJクルーザーという車のキャラクターを考えると、無骨な内装が逆に効果的といえるかもしれません。
装備が貧弱
FJクルーザーは、快適装備や安全装備が貧弱です。
LEDヘッドランプやオートライト、オートワイパーといった気の利いた装備は付きませんし、エアコンはこのクラスとしては信じがたいことに、全車マニュアル式です。
また、パワーシートやシートヒーターといった快適装備も付きません。
そして、ドアミラーは普通の車では当たり前になっている電動格納機能がないので、駐車するたびにいちいち手で畳んだり戻したりしなければなりません。
さらに安全装備に関しても、先進安全運転支援システム「トヨタ・セーフティ・センス」は搭載されていません。
クルーズコントロールは一部グレードに標準装備されますが、前車に自動で追従走行する機能はありません。
FJクルーザーの長所は、スタイリングの良さや悪路走破性の高さなど
次に、FJクルーザーの長所をあげてみましょう。
スタイリングが良い
FJクルーザーの最大の長所は、なんといってもスタイリングでしょう。
とても国産車とは思えないようなエキゾチックな雰囲気がありますし、大型のSUVながらも、フロントマスクには愛きょうさえ感じられます。
この魅力的なスタイリングだけでも、FJクルーザーを手に入れる価値があるというものです。
エンジンが力強い
エンジンは4Lの排気量があるだけに、2トン近いFJクルーザーの車体に対しても十分すぎるほどの力があります。
トルク特性もフラットなので、どこからアクセルを踏んでも思いどおりの加速ができます。
また、静かで振動も少ないので、快適性にも優れています。
悪路や雪道での走破性が高い
強固なラダーフレームとリジッド式のリアサスペンション、副変速機付の本格的なパートタイム4WD方式の採用、230mmもある最低地上高などにより、FJクルーザーの悪路や雪道での走破性は非常に優れています。
乗り心地が良い
FJクルーザーの乗り心地は、悪路走破性を追及したSUVとは思えないほど快適です。
荒れた路面でも乗員が上下に揺さぶられることはなく、突き上げ感もマイルドです。
車両感覚がつかみやすい
FJクルーザーは、四角いボディ形状や着座位置の高さに加え、運転席からボンネットの先端が見えることから車両感覚がつかみやすく、車体が大きいわりには運転しやすい車になっています。
FJクルーザー購入時の注意点をまとめると
これまでの検証結果から、FJクルーザー購入時の注意点をまとめてみました。
- 維持費の高さに覚悟が必要
- 全幅の広さや後方視界の悪さを覚悟すべし
- ドアの使い勝手が悪いので、後席にひんぱんに人を乗せるには向かない
- 快適装備を望んではいけない
逆にいえば、これらの点を割り切れるならば、FJクルーザーは人生に彩りをそえる良きパートナーになってくれるでしょう。
もしFJクルーザーに乗り換える場合は、愛車をトヨタのディーラーで手放してしまうと、下取り額の低さにガッカリすることになります。
愛車を手放すなら、ディーラーよりも査定額の高い中古車買取業者がおすすめです。
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