いきなりですが、僕はモーターショーでコンセプトカーを見ると「かっこいいけど、どうせ市販化されないんだろうな…」と思ってしまう人間です。
じつはホンダe を初めて目にしたときも「こんな奇抜なデザインじゃ、市販化の頃には別の車になってるんだろうな」と思っていました。
しかし蓋を開けてみたら、まさかのデザインそのまま…!
見れば見るほどクセになるホンダ e が本気で欲しくなってきたので、スペック、内装、外装、航続距離、価格など全部まとめました!
まんま人の顔?丸目ライトがかわいいデザイン
まずは外装デザインについてですが、これは満場一致で「かわいさ全開」のデザインに仕上がっていると思います。
注目すべきは、なんといってもフロントの丸目デザインですよね。あたかも「人の顔」を思わせる印象で、今にも喋りだしそうなくらい。
正直、このデザインをダサいと評価する人は一定数いるとは思います。めっちゃ個性的ですからね。
ただ、僕はこのデザインが好きだし、ここまで振り切ったデザインで発売してくれたホンダに大きな拍手を送りたい気分です。
LEDヘッドライトを仔細に見るとよくわかるんですが、このデザインって眼球を思わえるつくりなんですよ。
実際の意図がどうなのかはわかりませんが、これによってますます親近感を抱くデザインになっているのは間違いないでしょう。
前後対称?リアのデザインも非常にシンプル

上:フロント 下:リア
気になるリアデザインですが、こちらもびっくりするくらいシンプルです。
遠目に見たら、一瞬リアとフロント区別がつかないかも?と思うくらい同じデザインです。
ここまで無駄を削ぎ落としたデザインは珍しいですよね。
収納型のドアハンドル
最近の電気自動車ではよく見受けられる収納型のドアが、ホンダeにも採用されています。
使用時に自動でポップアップし、自動で収納するので見た目が非常にスッキリします。
見た目の問題もありますが、空気抵抗を減らす役割も担っています。
ドアハンドルの有無で劇的に燃費(航続距離)が伸びるわけではありませんが、あまり大きなバッテリーを積んでいないホンダe にとっては少しでも空気抵抗を減らすことに意味があります。
また、手元を照らすウエルカムランプが付いていて、夜間の視認性もUP。細かい配慮が嬉しいです。
オールブラック。16インチのアルミホイールが嬉しい
個人的に嬉しいポイントが、純正で付いているホイールです。
タイプ別設定にはなりますが、標準装備でオールブラックの16インチアルミホイールが付いています。
オールブラックのホイールを純正で採用する車種はかなり少ないので、個人的にかなり嬉しいポイントです。
余談ですが僕がいま乗っているN-BOXも、自分で塗装して黒にしちゃいました。それくらい、黒いホイールが好きです(笑)
ホンダe のボディカラーは全7色と豊富

プラチナホワイトパール

ルナ・シルバーメタリック

モダンスティール・メタリック

クリスタル・ブラックパール

チャージイエロー

プレミアムクリスタルブルー・メタリック

プレミアムクリスタルレッド・メタリック
ボディカラー選びは、車を買う時の楽しみのひとつですよね。
多すぎると迷ってしまいますが、ホンダ e は全7色とギリギリの良いラインを攻めた数になっています。
全色チェックしてみましたが、僕は「モダンスティール・メタリック」が完全に好みでした。この色だと、かわいさとかっこよさが隣り合わせになる気がします。
ホンダ e はボンネットに黒い台形の給電口が付いているんですが、個人的にはこの給電口が目立たないほうが好きなので、暗めの色を選びたいです。
ただ、白もかわいいので、このあたりは迷いどころですね。黒もいいけど、汚れが目立つかな…。

5枚のフロントディスプレイは圧巻。超未来的
ホンダ e の車内前方には5枚のディスプレイが配置され、すべての操作をタッチパネルで行うことができます。
僕はこの内装を見た瞬間に「ホンダ e 、マジで欲しいわ…」と感じました。
「内装は素晴らしいけど、こんなにたくさんディスプレイあって使いこなせるかな?」とも思いましたが、冷静に考えると5枚のディスプレイは非常に使い勝手が良いと思います。
そもそも、5枚のうち3枚は左右のサイドミラーとして使われることになるので、操作するのは実質3枚のディスプレイです。
ディスプレイは自由にカスタマイズができるので、どこに何を表示するのかを自分で選ぶことができます。
運転席の正面は車速や車の状態を表示することになりますが、残りの2枚はナビとオーディオ関連を表示することになるでしょう。
複数ディスプレイがあれば、もうあわてることがなくなる
複数枚ディスプレイの「マルチタスク機能」として、公式サイトでは以下のように説明されています。
運転席側ではナビのルート検索を表示しながら、一方で助手席側では好きな曲を探す。Honda eでは1つの画面では不可能だった2人での同時操作が、2つの画面によりできるようになりました。
今までは1枚のディスプレイでナビをオーディオを切り替えて表示していましたよね。
細かい話ですが、Bluetoothからラジオにオーディオを切り替えようとすると、当然その間はナビが表示されません。
オーディオの操作と右左折のタイミングが重なってしまうと、あわてて「ナビに戻して!」と助手席の人にお願いすることがたびたびありました(きっと僕だけじゃないはず)。
しかし、ディスプレイが複数枚あれば、ナビとオーディオ画面を常時表示できるので、切り替える必要がありません。ずっとナビを表示しておけるので、右左折時にも余裕を持ってルートの確認ができます。
雨の日でも視認性バッチリのサイドカメラミラー
5枚のディスプレイのうち、両端の2枚はサイドミラーとして使われます。
ホンダ e には従来のサイドミラーは付いておらず、サイドミラーの位置に後方を映すカメラが付いています。
そのカメラの映像を、左右のディスプレイで確認できるということです。
サイドミラーをカメラにするメリットとしては、
- ・サイドミラー部分が小さくなるので、空気抵抗が減る
- ・雨の日でも水滴が気にならず、後方の視認性が上がって安全
という点が挙げられます。
特に重要なのは、やはり雨の日の視認性向上でしょう。
従来のサイドミラーは、雨の日だと水滴が付いてしまい「もはやほとんど何も見えない」という状況も多々ありました。
しかし、カメラであれば雨の日でも水滴を気にする必要がないので、後方の安全をしっかり確認することができます。
雨の日はただでさえ事故率が高くなりますから、後方の安全性が確保されるサイドカメラはありがたい装備です。
必要な情報がパッと見やすいメーター液晶
運転席の正面にはメーターを表示する液晶が付いています。
車速を表示するスピードメーターはもちろん、Honda SENSINGの作動状況もひと目でチェックできます。
それ以外にも着信やオーディオの情報も表示されるので、便利です。
僕はいまN-BOXに乗っているんですが、航続可能距離の表示は頻繁にチェックしています。
特に軽自動車だとガソリンタンクが小さいのでこまめに給油しないといけないし、ホンダ e のような電気自動車も充電残量が重要になります。
最近はどの自動車メーカーも航続可能距離を表示するようになってはいますが、ホンダは非常にシンプルで見やすいので、個人的に気に入っているポイントです。それはホンダ e でも同じ仕様になっています。
内装の質感が素晴らしい。もはやリビング
内装はフロントの5枚並んだディスプレイのインパクトが大きいですが、ところどころに使われている木の素材も、部屋のインテリアを思わせる質感に仕上がっています。
個人的にはこの気を使ったインテリアが大好きでして、最近乗ったボルボXC90も同じ感じでした。木のぬくもりが車内で感じられるなんて、最高すぎます。
車内にまさかにダウンライト…!
「リビングにいるような、心地のよい空間」と謳っているだけあって、内装は本当に凝っています。
というのも、車内に理外のダウンライトを装備してあるのです!ダウンライトの部屋ってそれだけでムードが良くなるものですが、それをまさか車の中で実現するとは…。
昼白色なので電球色だとさらにポイントが高かったんですが、それでもダウンライトを車内に設置するという意外性には脱帽です。
シート色は1色のみ。もう少し遊び心が合ってもよかった?
ホンダ e は見た目からして遊び心がある車で、紹介してきたとおり内装もかなり挑戦的なものばかりです。
しかし、それと比較してシートのデザインと色は少し物足りない印象を受けます。
そもそも、シートは「ブラック」の1色のみしかなく、ほかに選択の余地がありません(2020年10月時点)。
せっかく面白い車なので、シートもいろいろな素材・色から選べるともっと楽しみが広がるのになぁと思います。
荷室や収納スペースは必要十分
ホンダ e はサイズが小さいので「収納スペースが小さいのでは?」という懸念があると思います。
僕が受けた印象としては「スペースは大きくないけど、使い勝手は良さそう」というものでした。
まず、後部座席ですが、ほぼフルフラットになります。2名しか乗らないのであれば、後席を倒したままにしておいて荷物をたくさん積める仕様にしておくのもアリかなと。
全幅1752mmなので、幅の広い荷物を積むのはむずかしいですが、ホンダe のこのサイズ感にしては荷物の収納力は十分高いのではないかと感じました。
そもそも、ホンダ e のコンセプトが「近距離ドライバー向けの車」なので、日常的に大きな荷物を運ぶ機会は意外と少なそう。そう考えると、やはりこのサイズ感はよくできているなと感じられます。
先進のHonda SENSINGを搭載
最新車種だけあって、安全装備も先進も機能を搭載しています。
ひとことでいうと「Honda SENSING」なのですが、予防安全および衝突安全は以下のような装備が備わっています(表は横スクロールできます)。
Honda SENSINGの予防安全 | |
---|---|
渋滞追従機能付ACC | ▷加速・減速し、適切な車間距離をキープ ▷前走車が止まれば合わせて停車 |
衝突軽減ブレーキ〈CMBS〉 | 車両、歩行者、自転車に対応。自転車対応はHonda車で初 |
車線維持支援システム | 高速道路走行中、車線の中央を維持する |
誤発進抑制機能 | アクセルを踏み込んだ場合の急加速を抑制 |
歩行者事故低減ステアリング | 路側帯を歩く歩行者との衝突回避のための支援 |
路外逸脱抑制機能 | 車線をはみ出しそうになるのを防ぎ、車線内へ戻す |
先行車発進お知らせ機能 | 前走車の発進を音とディスプレー表示でお知らせ |
標識認識機能 | 道路標識をディスプレー表示し、標識への注意を促す |
後方誤発進抑制機能 | アクセルを踏み込んだ場合の、急な後退を抑制 |
オートハイビーム | 夜間走行時、ハイビームとロービームを自動で切り替え |
Honda SENSINGの衝突安全 | |
---|---|
サイドエアバッグシステム | 前席/後席対応。カーテンエアバッグも |
転席用&助手席用i-SRSエアバッグシステム | 「早く」「やさしく」「長く」ふくらんで、さまざまな体格や衝突状況に対応 |
衝突安全設計ボディー | 衝突時の衝撃(G)を制御する安全技術「G-CON」採用 |
プリテンショナーELRシートベルト | 衝突時、瞬時にシートベルトを引き込んで体を固定 |
頚部衝撃緩和フロントシート | 後方から低速で追突された際に、首への負担を軽減する |
後席シートベルト締め忘れ警告灯 | ルームミラー上部のランプでお知らせし、シートベルトの着用を促す |
現時点ではJNCAPによるホンダ e の衝突試験などは行われていないため、実際の性能ついては未知数です。
ただ、ホンダの先進安全装備を搭載した車種は、軒並みいい成績を残しています。ですから、このホンダ e についても色んな意味で死角はないと考えていいでしょう。
航続距離の短さをどうとるかが問題
ホンダ e は航続距離が少ない、割り切った車として認知されています。
実際の航続距離は以下のとおりです。
ホンダ e の航続距離 | ||
---|---|---|
Honda e | WLTCモード 283 km | JC08モード 308km |
Honda e Advance | WLTCモード 259 km | JC08モード 274 km |
毎日の走行距離がどれくらいになるかによって、充電頻度は変わってきます。
週末の休日にしか乗らないのであれば、2週間に1度くらいの充電で済むかもしれません。
一方で、毎日の通勤に使うような場合だと、それこそ3日に1度などの頻度になる可能性もあります。
言うまでもなく、走行距離によって充電頻度は変わりますから、自分がホンダ e をどのくらい運転するかをよく検討すべきでしょう。
また、ホンダ e のような航続距離の少ない車を所有するなら、自宅に充電設備を整えたいのが本音です。
僕はマンション暮らしなのですが、充電をするたびに充電スタンドに行って、そこで30分以上待機するのはちょっとしんどいかなと。今はコンビニとか商業施設にも充電設備が整っているので、待ち時間はそこまで気にならないかもしれませんが。
乗る人の使い方によりますが、ホンダ e の航続距離の少なさは、場合によっては決定的なデメリットになり得るでしょう。
災害時に車の電気が使える「V2H」に対応
ホンダ e で蓄えた電気は、家庭に供給することもできます。
V2H(Vehicle to Home)機器を接続する必要がありますが、車に電気があれば万が一の災害時でも安心して電気を使うことができます。
これから電気自動車を買うのであれば、やはりV2Hに対応しているかは重要視したいですね。
アクセルペダルだけで減速や停車まで
ホンダ e は電気自動車ならではの走行性能を持ち合わせています。その一つが、アクセルペダルだけで減速や停車まで行える「シングルペダルコントロール」です。
アクセルペダルをゆるめるだけで減速することができるので、運転が非常にラクになります。日産のノート e-Power でも採用されているので、知っている人も多いかもしれませんね。
また、減速度を自分でハンドルのレバーで4段階調節できるので、自分好みのドライブフィーリングを設定することも可能です。
ちなみに、「NORMAL」と「SPORT」という2つの走行モードがあるので、広い道で運転を楽しみたいときなどに切り替えてみると良いかもしれません。
なぜ高い?ホンダe のグレードの違いを比較
Honda e | Honda e Advance | |
---|---|---|
価格 | 4,510,000円 | 4,950,000円 |
Honda SENSING | ● | ● |
ワイドスクリーン | ● | ● |
Honda パーキングパイロット | ー | ● |
マルチビューカメラシステム | ー | ● |
後退出庫サポート | ● | ● |
ステアリングヒーター | ● | ● |
プレミアムサウンドシステム | ー | ● |
100V AC電源(1500W) | ー | ● |
センターカメラミラーシステム | ー | ● |
スカイルーフ(サンシェード付) | ● | ● |
サイドカメラミラーシステム | ● | ● |
フラッシュアウターハンドル | ● | ● |
シングルペダルコントロール | ● | ● |
16インチアルミホイール | ● | ー |
17インチアルミホイール | ー | ● |
WLTCモード 走行距離 | 283km | 259km |
最高出力 | 100kW[136PS] 3,078-11,920rpm | 113kW[154PS] 3,497-10,000rpm |
最大トルク | 315N・m[32.1kgf・m] 0-2,000rpm | 315N・m[32.1kgf・m] 0-2,000rpm |
全長 | 3,895mm | |
全幅 | 1,750mm | |
全高 | 1,510mm | |
ホイールベース | 2.53m | |
車両重量 | 1,510kg | 1,540kg |
乗車定員 | 4人 |
ホンダ e は2つのグレードに分かれていまして、約50万円の価格差があります。
現状、電気自動車としてはこれくらいの高価格になるのは仕方ないのかなと思う部分はあります。まだまだリチウムイオン電池は高価なので。
とはいえ、他社のライバル車と比較すると、正直微妙なラインです。どうしても「航続距離が短いわりに価格が高い」という感覚はずっと付きまとうと思います。
というのも、日産の電気自動車・リーフは航続距離322kmでありながら、3,326,400円〜という価格で購入できるからです。
もちろん、ホンダ e のデザイン的な強みや内装の質感の高さは優位性があります。とはいえ、総合的に判断したときに、ホンダ e を積極的に買うかというとなかなか難しい判断になると思います。
値段の高さは否定できないので、十分な予算計画を立てつつ、いま乗っている車を高く売却するなどして資金をしっかり用意するようにしたいところです。