車を長持ちさせるには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか?
自分の車を長持ちさせる方法を知っていれば、将来売るときに高く買い取ってもらうことにもつながります。
そして何より、大切な愛車と一緒に過ごせる時間が増えるのは大きな喜びですよね。
車を長く大切に乗るために気をつけるべき乗り方とメンテナンスのコツをわかりやすく解説します。
車の寿命はどれくらいなの?
どんな大切な車であっても、消耗品であることに変わりはありません。車を長持ちさせる前に、まずは車の寿命や走行距離の限界がどれくらいなのかを知っておく必要があります。
車の寿命を語るとき、目安となるのは以下の2つです。
- ・登録されてから10年間
- ・走行距離が10万キロ
新車登録日から10年が1つの目安
1つ目は車が走り始めてからの年数で寿命を決める方法です。
車が初めて新車登録される日のことを「初度登録年月」といいます(車検証に載っています)。この登録年月から10年間経つと、車は寿命であると言われることが多くなっています。
どんなに走行距離が少なくて、状態が良く見える車であっても同じです。車の部品は使っていなくても経年劣化を起こすので、走らせていないからといって安心はできません。
また、年数が経過した車種は中古車市場での価値も低くなるため、高く売ることはむずかしくなります。
とはいえ、当然ながら10年が経ったら必ず寿命というわけではありません。女優の伊藤かずえさんが日産シーマをリストアして乗り続けているように、乗り方やメンテナンス次第で、車の寿命は半永久的に続きます。
10万キロで買い替えが目安
2つ目は走行距離が10万キロを超えたところが寿命というものです。
車は距離を長く乗れば乗るほど、エンジンや各部品の摩耗が進みます。
どんなに丁寧なメンテナンスをしていても、やはり車としての劣化は走行距離と比例してしまいます。
ただし、10万キロを超えたからといって必ずしも寿命を迎えるわけではありません。どんな環境で車を使って、どんな乗り方をしていたか、メンテンナンスはどれくらいやっていたかによって寿命は変わってくるからです。
さらに、一昔前と比べると車の性能自体が上がっており、故障しにくくなっているので「走行距離10万キロ=寿命」という考えは少し古くなっている感じがあります。
本当は都市伝説?実際、車はメンテナンス次第
これら2つを目安にして車の寿命は決められることが多いのですが、実際のところはあまりアテにならないこともあります。
なぜなら、車を長持ちさせるためのメンテナンスや丁寧な乗り方をしていればもっと長く乗ることができるからです。
たとえばドイツなどは走行距離が10万キロを超えてもまだまだ乗り続けます。走行距離が15万キロ、20万キロを超えた車がたくさん走っているのです。車検代が1万5,000円程度と日本より安いというアドバンテージがありますが、親が乗っていた10万キロ超えの車を子どもが乗り継ぐという伝統があるくらいです。
日本では3年〜5年で車を買い替える人が多いので実感が湧きませんが、車は乗り方やメンテナンス次第でかなり長持ちします。
日本の車が長持ちしないのは住宅事情が関係している?
車が10万キロで寿命というのは、日本の交通社会や住宅事情とも大きく関係しています。
外国、特にアメリカなどは車のメンテナンスを自分で行うのが普通です。日本のような車検制度というものがアメリカにはありません。ルイジアナ、テキサス、ハワイなどの州では安全検査があるものの、日本の車検ほどは厳しくありません。フロリダなど、車両検査がまったくない州もあるくらいです。
そのため、自宅のガレージで定期的な車両点検を行う機会が自然と増えます。それはつまり、日頃から車にさわる機会が多いことを意味していて、それだけメンテナンスをする回数も増えるということですよね。
これができるのは国土が大きく自宅の面積(ガレージ)が大きいという環境のおかげでもあります。つまり、同じ車を長く乗り続けられるかは、住宅事情とも関係してくるのです。
日本国内ではなかなか自宅で車をメンテナンスをするのがむずかしく、車検のときにしか点検をしない人が多数を占めます。特に、マンション住まいの人にとって、車いじりをする場所の確保は困難です。
こうした理由もあって、日本では車の寿命や車の買い替えサイクルが短くなっていると言えるでしょう。
日本の狭い道路が車の寿命に影響する?
もう一つ、日本の狭い道路事情が車の寿命を縮めていると考える人もいます。
影響は小さいにせよ、狭い道路は少なからず車にはマイナスです。なぜかというと、道路が狭いとスタート&ストップが多くなるから。つまり、ブレーキを踏む→エンジンを始動するという行程を何度も繰り返すということです。
車というのは、同じ速度で巡航したほうが燃費が良くなります。なるべくブレーキを踏まずに、一定速度で走ったほうが車にはやさしいんですね。高速道路のほうが燃費が良いことがその証左です。
狭い道路で信号がたくさんあると、そのぶんブレーキを踏む回数も増えます。狭い道路だと、通行やすれ違いに慎重にならざるを得ず、どうしてもブレーキを踏んでゆっくり走らざるを得ません。
こうした運転によって、車には少しずつダメージが蓄積されてき、結果的に寿命を縮める原因になっていくのです。
車を長持ちさせるなら必須!効果的なメンテナンス
車を長持ちさせるには最低限のメンテナンスが必要です。2年ごとの車検時だけの点検では、やはり限界があります。
どのようにすれば車は長持ちするのでしょうか?3つのポイントに分けて見ていきましょう。
- 日頃からやりたいメンテナンス
- 1. タイヤの空気圧とすり減りをチェック
- 2. オイルは半年ごと or 5000kmごとに交換
- 3. エンジンルームの液体残量チェックは欠かさずに
①タイヤの空気圧確認で車は長持ち&経済的
まずタイヤの空気圧についてですが、月に1回は確認したいところです。
ガソリンスタンドに行けば、たいていは無料で空気圧を見てもらえるのでお願いしてみましょう。
特に高速道路に乗る前は注意が必要です。空気圧が低いまま走るとバースト(破裂)の危険性があるからです。高速道路に入る前には空気圧を少し高めに設定しましょう(20kPa程度)。
ちなみに、最適な空気圧というのは車によって異なります。それをチェックしないまま空気を入れても逆効果になることがあるので注意しましょう。
自分の車の最適な空気圧は、ガソリンタンクのフタをチェックするとわかります。そこに適正空気圧が記載されているはずです。それでもわからない場合は、ガソリンスタンドの人に相談してみることをおすすめします。
車の空気圧は燃費にも影響する
車に合った空気圧にしていると経済的にもいいことがあります。タイヤが車の燃費性能に与える影響は大きく、適正な空気圧にしているだけで燃費が10〜15%アップするからです。
車の燃費が良くなれば、そのぶんだけ車にかかる負荷が少なくなるため、長持ちします。車にも財布にもやさしい状態を保つために、タイヤの空気圧には気を配りましょう。
タイヤの溝がすり減っていると、事故につながる恐れも
タイヤの空気圧だけでなく、タイヤの溝が残っているかチェックすることも大切です。
タイヤがすり減ってくるとグリップ力が低下するため、滑りやすくなります。さらに、ブレーキの効き(制動力)も落ちるため、事故につながる恐れも。
特に雨の日や雪道を走るときに、タイヤがすり減っていると大変危険です。事故で車が壊れてしまえば長持ちさせることはむずかしくなりますから、タイヤの点検は半年〜1年ごとにこまめに行いましょう。
ちなみに、タイヤの交換費用を安く抑えるためにはタイヤをネットで購入して、ガソリンスタンドで設置してもらうのがおすすめ。
ガソリンスタンドによりますが、ネットで頼んだタイヤの受け取りをして、保管してくれるお店があります。そうすればタイヤを自分で運ぶ必要がないので、安くタイヤを買って、工賃だけ払えばタイヤ交換が可能です。
実際、僕は【AUTOWAYというネットショップでタイヤを購入→近所のエネオス(ガソリンスタンド)に直送→予約した日に車で行ってタイヤ交換してもらう】というやり方でタイヤ交換したことがあります。
古いタイヤの処分もやってくれますし、なにより安く済みます。タイヤを4本交換して、トータル4万円弱で済みました。
ガソリンスタンドの中には「ネットで買ったタイヤ交換もOK」というお店が意外と多いので、ぜひチェックしてみてください。
②車のオイルは人間の血液と同じ。長持ちさせるメンテナンスを
車のオイルはどんな役目を果たしているのでしょうか?エンジンオイルには大きく分けて5つの役割があります。
- エンジンオイルの役割
- 1. 洗浄(パーツをキレイにする)
- 2. 防錆(サビを防ぐ)
- 3. 潤滑(パーツの動きを良くする)
- 4. 密封(エネルギー効率を上げる)
- 5. 冷却(高温になったパーツを冷ます)
オイルで洗浄することでエンジンは長持ちする
1の洗浄は、エンジンの燃焼などによって生じた汚れをキレイにする効果があります。
キレイにするといっても洗剤のように汚れを取り去るわけではありません。汚れを1つの場所に溜め込まないように分散させることで、エンジンのパフォーマンスを高く保つ役割を果たします。
パーツの汚れをとるたびに、オイルは汚れていきます。パーツが汚れれば、性能も落ちていくため、車にとって良くありません。
乗っている環境にもよりますが、走行距離が5000km or 6ヶ月を超えたあたりでオイル交換するのが理想です。
エンジンオイルは車検のときにしか交換しないという人が大半ですが、ガソリンスタンドでも交換してもらえますので、なるべくこまめに交換しましょう。
ちなみに、それなりに大変な作業にはなりますが、業者に頼まずに自分でオイル交換をすることも可能です。
サビはエンジンの大敵!
2の防錆(ぼうせい)はエンジンのサビを防止する効果のことを言います。
サビはご存知のとおり水分によって、引き起こされます。
エンジンは燃焼によって高温になるため、外気温との温度差で水分が生じやすくなります。
エンジンのサビは性能を下げ、車の寿命も縮めます。こうしたサビを防ぐ役割を果たすのがエンジンオイルというわけです。
潤滑によってエンジンの性能を最大限に引き出す
3の潤滑はエンジンのパーツの間に入って効果を発揮します。
エンジンはピストンの高速運動によってエネルギーを発生させていますが、このときに生じる部品の摩耗などをオイルによって防ぐことができます。
オイルがないと、部品同士がこすれ合ってしまい消耗が激しくなります。エンジンオイルの潤滑作用があるからこそ、円滑なエンジンの動作が保たれているのです。
オイル交換を怠っていると、パーツの磨耗が進み、部品交換のサイクルが早くなります。オイル交換の費用よりも高くつくことになりますから、注意したいですね。
密封によってムダなエネルギーのロスを防ぐ
4の密封はエンジンのシリンダーとピストンのスキマを埋める役割を果たします。
ピストンとシリンダーと言われてもピンとこない人もいるかもしれませんが、簡単に言うとエンジンの動力源として動くパーツのことです。
ピストンとシリンダーは完全に密着しているわけではありません。わずかにスキマが生じます。気密性がないと、燃焼したエネルギーが逃げてしまいます。エンジンオイルがこの隙間に入ることで、効率的な運動をおこなうことができます。
エネルギーが効率的に働けば、パワーを最大限に発揮できるので車が長持ちするというわけです。
エンジンの熱を冷ますのもオイルの役目
5の冷却は文字通り、エンジンの部品を冷却する効果のことをいいます。
エンジン内をめぐったオイルは、各部品を冷ましたあとにオイルパンという「オイルの基地」のような場所に戻って冷却されます。
オイルが汚れてくると、エンジンの熱を冷ます効果が薄れていってしまいます。すると、パーツが本当の力を発揮できず、場合によってはエンジンが動かなくなる可能性も出てくるのです。
③エンジンルームの点検は各種残量をチェック
最後にエンジンルームの点検ですが、ここでは特に各種液体の残量をチェックするようにしましょう。必要な液体はウォッシャー液、ブレーキ液、バッテリー液、冷却水など様々です。
これらの液体はエンジンルームを開けばカンタンに確認できるので、もし減っているのがわかった段階で補給するようにしましょう。
こうしたメンテナンスを継続すれば、車を長持ちさせることはもちろん、売却するときの査定額にも期待が持てるようになります。
車を長持ちさせる乗り方のコツ&車の保管方法
ここまでは車のメンテナンスなどの内部状態をメインに説明してきました。
それ以外にも、車を長持ちさせる乗り方(運転の仕方)や保管方法についてもチェックしておきましょう。
- 車を長持ちさせるコツ
- ・暖機運転(車のウォーミングアップ)
- ・急ブレーキ、急発進は避ける
- ・屋根付きの駐車場を選ぶ
- ・定期的に車に乗ってあげる
- ・鳥のフン、ドロはボディの大敵
暖機運転(車のウォーミングアップ)
エンジンは人間の身体と同じで、準備体操が必要です。ストレッチなしで運動をすると、ケガをしたり、良いパフォーマンスを発揮できませんよね。
車のウォーミングアップとして大切なのが、暖機運転です。要するに、エンジンをかけて、しばらく置いておくことをいいいます。
どこかに出かけるときには、エンジンをかけてすぐに運転しがちですよね。しかし、エンジンや各部品は冷えているのですぐにスタートする準備ができません。
エンジンをかけて数分間はそのままにして、暖めてあげましょう。そうすることで、車やエンジンが長持ちします。特に、冬場は暖機運転をしたほうがいいでしょう。
急ブレーキは避ける(ブレーキの回数を減らす)
急ブレーキはブレーキパッドやタイヤの寿命を縮めます。ブレーキは信号待ちのときに踏むことが多いですが、なるべくブレーキは使わずにエンジンブレーキを使うようにしましょう。
赤信号が近くに来てからベタ踏みするのではなく、早い段階から遠くにある信号を確認しておき「このタイミングでいくと、赤信号になるな」と察知できれば、ブレーキを踏む回数を減らすことができますよね。
ちなみに、僕は車の運転中でもなるべく前方の横断歩道の信号まで見るようにしています。横断歩道の信号が点滅したら、まもなく車の信号も赤に変わることがわかるので、それを察知して早い段階で速度をゆるめることでブレーキの使用を最小限にするわけです。
ブレーキの回数を減らすと燃費の向上にもつながります。ブレーキを踏む必要がない場面では踏まないようにする。これだけで、車の寿命は伸びるはずです。

急発進を避ける(アクセルはゆっくり踏む)
急発進はエンジンや燃費性能に悪影響を与えます。
信号が青に変わった瞬間に急にアクセルを踏んで急発進する車を見かけることがありますが、あれは本当に車に良くないし、なにより危険です。
「急」が付く運転を避けることが、車を長持ちさせることにつながります。
急発進は車の燃費にも悪影響ですし、まわりの車や歩行者にとっても不快でしかありません。急発進をやめるだけで燃料代の節約になるし、交通社会全体の公益にもつながります。
屋根付きの駐車場を選ぶ
雨・風・紫外線は車を傷めます。外装を痛めてしまいますし、タイヤの状態も悪くなります。
ですから、屋根付きの駐車場を選ぶことが車を長持ちさせることにつながります。特に幌が付いたオープンタイプの車種は、メンテナンスや保管方法に注意する必要があります。
屋根があるだけで、車は驚くほど長持ちしますよ。洗車をしたあとも雨風を心配せずに保管ができるので、車への愛着が増していくというメリットも。
屋根付きの駐車場は駐車場代が高かったり、屋根の設置にコストがかかりますが、車の維持費を考えると結局安上がりになることも少なくありません。
定期的に車に乗ってあげる
車はしばらく乗らないと調子が悪くなります。
おもな原因はエンジンやパーツがサビついたり、スムーズに動かなくなることにあります。
定期的にエンジンをかけて、短い距離でもいいので乗ってあげましょう。

鳥のフン、ドロはボディの大敵
車のボディは頑丈に見えて意外とヤワだったりします。
特に鳥のフンや、泥には要注意。鳥のフンは酸性なので、そのまま放置するとボディが変色したり溶けたりします。
こまめに洗車をしてあげることで、車は長持ちします。

長持ちさせて、車の価値を高くしておこう
車を長持ちさせるポイントはたくさんありますが、すべてを実行するのはむずかしいかもしれません。
ですから、まずは自分のできることから始めてみましょう。
定期的にメンテナンスをすることで、車が持っている本来の価値を落とすことなく乗り続けることができます。
将来的な買い替えまで視野に入れると、車を長持ちさせるポイントはとても重要です。
大切な車だからこそ、長く乗れるように意識していきたいですね。