マニュアル車は日本では少数派ですが、オートマ車と一味ちがう運転の楽しさが得られるなどのメリットがあります。
ここでは、マニュアル車の維持費がどれくらいかかるのかをふくめ、MT車を選ぶときの注意点について解説します。
マニュアル車とオートマ車で維持費に差が出る消耗品は3つ
はじめに、マニュアル車を長期間乗り続けることにより発生するメンテナンス費用について解説しましょう。
故障に見舞われないかぎり、基本的に消耗品にかかるコストがメンテナンス費用になります。
マニュアル車とオートマ車とでコスト面で差がつく消耗品には、次の3つがあげられます。
- 消耗品のコスト
- ① クラッチ
- ② ギアオイル
- ③ ブレーキオイル
1.クラッチは扱い方で寿命が変わる
まずクラッチですが、マニュアル車の場合はドライバーの扱い方によって寿命に大きな差が生じます。国産車の場合、通常の扱いをしていれば5~10万キロ程度はメンテナンスなしで大丈夫です。
しかし、クラッチの操作に問題があったり、渋滞の多い地域に住んでいてゴー&ストップの連続を強いられるような場合は4~5万キロ程度でクラッチに滑りが生じて交換を要するケースもあります。
クラッチ交換にかかる費用の目安は以下のとおりです。
- ・軽自動車 5~8万円
- ・国産の登録車 5~20万円
- ・輸入車 15万円~
一方、オートマ車の場合はクラッチの断続を車が自動で行ってくれるので、ドライバーの技量による寿命の差は生じません。
ATのクラッチの寿命はMTよりもずっと長く、約20万キロはメンテナンス不要です。
また、CVTの場合は、現在新車で販売されている車種にはそもそもクラッチが存在しません。
まとめると、クラッチに関してはマニュアル車はオートマ車よりも維持費が高くなる傾向があります。
ただし、年間の走行距離が少なかったり、5万キロも乗らないうちに買い替えることを前提にしている場合は、オートマ車と変わらないとみて問題ありません。
2.ギアオイルはMT・ATに大きな差はなし
続いては、ギアオイル(ミッションオイル)についてです。
通常は2年に一度、または2万キロに一度の頻度で交換することが望まれます。
車種によっては、取扱説明書にギアオイルの交換は必要ないと書かれている場合もありますが、車を長持ちさせるためには上記の頻度で交換した方がベターです。
費用は車種によって異なりますが、国産車の場合は工賃込みで数千円で済みます。
一方、オートマ車の場合は、ATF(オートマフルード)と呼ばれるオイルの交換が必要です。
交換時期はメーカーにより異なりますが、おおむね4~10万キロ程度で、交換費用は1~3万円が目安になります。
以上の点から、長期的にみればマニュアル車もオートマ車もギアオイルについては大差ありません。
3.ブレーキオイルは走行距離が伸びると差が出る
最後にブレーキオイル(ブレーキフルード)ですが、マニュアル車もオートマ車も同一のものを使用しています。
しかし、一般的にマニュアル車の方がエンジンブレーキの効きが良く、フートブレーキの負担が少ないので、ブレーキオイルの劣化も少なくなります。
したがって、交換のサイクルが長くなるため、マニュアル車のほうがオートマ車よりも維持費がわずかですが安上がりです。
まとめると、マニュアル車の維持費は5万キロくらいまではオートマ車と大差ありません。しかし、それ以上になるとクラッチの寿命が短い分だけ高くつく、ということになります。
マニュアル車の燃料代はオートマ車と大差なし
次に、燃料代(ガソリン代または軽油代)についてです。
一般的にカタログ燃費を同一車種・同一グレードのマニュアル車とオートマ車を比べると、マニュアル車の方が劣っています。
しかし、オートマ車はカタログ燃費と実燃費の差が大きい傾向がありますが、マニュアル車は運転のしかたによってはカタログ値に近い数値を出すことも可能です。
場合によっては、オートマ車を上回る燃費を記録することもあります。
少なくとも、マニュアル車の燃料代はオートマ車よりも大幅に高くなってしまうのでは?という心配はしなくて大丈夫です。

マニュアル車の維持費を抑えるには、クラッチ操作とギアチェンジのタイミングがポイント
続いて、マニュアル車の維持費を抑えるための注意点をお教えしましょう。
まず、発進時に半クラッチを多用しないことがクラッチの寿命を延ばす秘訣になります。
また、クラッチペダルに足を乗せたままにしているとクラッチにダメージを与えてしまうので、そうした癖がある場合はすぐに直すべきです。
次に、燃費をよくするための運転方法についてですが、一定速度で巡行する際はなるべく高いギアを使うようにします。
加速の際も、早め早めのシフトアップをするよう心がければ、各ギアで高回転まで引っ張るよりも燃費が向上します。

マニュアル車の維持費はオートマ車と大差ない
昔はオートマ車はマニュアル車よりも車両価格そのものが高かったほか、AT自体の寿命や信頼性もMTに劣っている上、メンテナンス費用もかさみました。
さらに、燃費もマニュアル車より明らかに劣っていたので、トータルの維持費はマニュアル車の方が確実に安上がりでした。
しかし、現在はオートマ車の完成度が高くなったため、マニュアル車の方が維持費が安いということはありません。
それでも、マニュアル車には自分で車を動かしている実感が得られるなど、捨てがたい魅力があります。
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